太陽光発電所の銅線盗難を防げ~現場から生まれた技術が特許と県警表彰につながるまで~

実は今、太陽光発電施設を狙った銅線ケーブル盗難が各地で深刻な問題となっているのをご存じでしょうか?
群馬県内でも被害は後を絶たず、未遂を含めると年間1000件を超える盗難事件が発生しているとのことです。
資源価格の高騰を背景に、道路近くの電柱や引込柱は特に狙われやすく、導線ケーブルが盗まれてしまえばその修復費用だけでなく、発電停止による損失も発生します。
この現場の問題を解決するために生まれた特許が、今回ご紹介する盗難防止システムです。
太陽光発電所を狙う銅線盗難という現実
約450か所の太陽光発電施設を所有・管理する、群馬県の太陽光発電のリーディングカンパニー「株式会社親広産業」(以下、親広産業)でも、銅線ケーブルの盗難被害が事業運営に直接影響する深刻な課題となっていました。
今までもフェンスや監視カメラだけでは十分とは言えず、かといって大掛かりな工事ではコストも時間もかかる。
「現場に負担をかけず、抑止力のある対策はできないか」
その問いが、技術開発の出発点でした。
課題解決のために生まれた共同開発
この課題に対し、親広産業は群馬県高崎市の専門学校「中央情報大学校」と連携し、盗難防止システムの検討を進めることになります。
学生たちは授業の一環として盗難防止システムの開発に参加し、企業側が抱える現場の悩みをもとに、盗難対策の仕組みを検討していきました。
この中でで生まれたのが、磁石とセンサーを活用したシンプルな検知の仕組みです。
ケーブルや柵が動くと磁石の位置がずれ、その変化を検知して警報が鳴るという構造。複雑な工事を必要としない点が、大きな特徴でした。
シンプルなのに「使える」盗難防止システム
完成したシステムは、引込柱を高さ約3メートルの金属柵で囲い、柵やストッパの取り外しを磁気センサーで検知します。
異常があればその場で警報が作動し、犯行の継続を困難にします。
特に評価されたのは、次の点です。
・ 重機や溶接を使わずに設置できる
・ 少人数・短時間で施工可能
・ メンテナンス作業を妨げにくい構造
これらの工夫は、後に取得された特許においても、構造や施工方法として整理されています。
技術は特許に、そして商品へ
この盗難防止システムは、2025年9月に特許登録され、現在は 親広産業が「The Cage」として商品化しています。
J-PlatPatより引用
実際の太陽光発電施設での導入もすでに進んでおり、「現場で使われること」を前提に設計された技術であることが分かります。
県警からの感謝状が示すもの
この取り組みは、技術的な新規性だけでなく、犯罪を未然に防ぐという社会的意義も評価されました。
銅線盗難防止に貢献したとして、群馬県県警から開発に関わった学生らに感謝状が贈られています。
「被害者になる前に抑止する発想がありがたい」という言葉は、この技術の本質をよく表しています。
弁理士の視点で見ると
この事例で重要なのは、現場の工夫を「特許」という形で整理し、きちんと守ったことです。
せっかく盗難対策の技術を生み出しても、その技術自体が盗まれてしまっては、事業としての利益にはつながりません。
そこで、構造や施工方法、検知の仕組みを権利化したことで、この技術を事業として安心して展開できる基盤が整いました。
アイデアを社会に広げていくためには、技術そのものだけでなく、その技術を使って事業を安心して展開できる状態を、あらかじめ整えておくことが欠かせません。
羽鳥国際特許商標事務所より
羽鳥国際特許商標事務所では、現場の課題から生まれた技術を、特許としてどのように整理し、活かすかのサポートも行っています。
「これは特許になるのだろうか」
「商品化を見据えて、どう守るべきか」
そうした検討段階からのご相談にも対応しています。お気軽にお問い合わせください。
なお、本件の特許出願については、羽鳥国際特許商標事務所が、開発内容の整理段階から関与し、出願代理を行いました。
企業の競争力向上には、特許・商標・意匠などの知的財産戦略が欠かせません。
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羽鳥国際特許商標事務所
所長/弁理士 羽鳥 亘
副所長/弁理士 羽鳥 慎也
弁理士 柿原 希望


