コロナ禍で止まった世界で、JINSは「知財」を動かしていた。JINSが作った「化粧するメガネ」

2020年、コロナウイルス蔓延により世の中が止まっていた頃。JINSは逆に、ひとつのアイデアを動かし始めました。
テレワークやマスク生活のなかで、「オンライン会議のたびに化粧するのが面倒」「マスクで顔が暗く見える」そんな声があちこちから聞こえてきたんです。
そこから生まれたのが、チークカラー®レンズ。レンズにほんのり血色を加えて、目元を明るく見せるという発想でした。


株式会社ジンズHPより引用
「チークカラー」という言葉をどう守るか
この名前は、聞いただけで機能がわかる。だからこそ、すぐに真似されやすい。発売直後からSNSで話題になり、似たような名前の商品がいくつも出てきました。
でもその時には、JINSは「チークカラー」の名称について商標出願を行っていました。
JINSは「チークカラー」の商標登録が完了すると、ネット上の無断使用を監視して、必要に応じて差止請求まで進めました。

J-PlatPatより引用
また、チークカラーのグラデーションを取り入れたレンズについても意匠登録を行い、機能とデザインの両面からブランドを守る仕組みを整えました。「見た目」まで保護する姿勢が、JINSブランドの信頼をさらに高めていったのです。

J-PlatPatより引用
弁理士の目線で見ると
JINSの強さは、アイデアと知財を同じスピードで動かしていること。新しい商品を考えるのと同じタイミングで、どう守るか、どう広げるかを考えている。「環境が変わる前に手を打つ」それがJINSの知財戦略の基本なのだと思います。
特に「機能が伝わる名前」は売れやすいけれど、その分だけ模倣もされやすい。こうした名称こそ、出願・登録表示・監視を含む知財戦略をあらかじめ構築しておく必要があります。中小企業でも、そこを意識するだけでリスクが減ります。
知財は「守るための仕組み」にもなり、「挑戦を支える仕組み」にもなります。攻めの姿勢で設計すれば、ブランドの成長を後押しする強力なエンジンになります。
おわりに
ブランドは、派手な広告やデザインから生まれるわけではありません。日々の発想と、守る仕組みの積み重ねでできていくものです。
もしあなたの会社の商品名に「これだ」と思える名前があるなら、その名前が育っていく未来を考えてみてください。
羽鳥国際特許商標事務所より
商標登録は、ブランドづくりの最初の一歩です。「この名前、登録したほうがいいのかな?」そんな段階からでも大丈夫。一緒に守りながら育てる方法を考えていきましょう。

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この記事は特許庁発行の
『商標の活用事例集「事例から学ぶ 商標活用ガイド」
– ビジネスやるなら、商標だ!- (2024年版)』を参考に作成しています。