羽鳥国際特許商標事務所

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特許出願とは?発明を守る仕組みを初心者向けに解説

こんにちは。羽鳥国際特許商標事務所の弁理士の羽鳥慎也です。

新しい商品を開発するとき、「こんな機能があれば便利なのではないか」「この構造なら、これまでの問題を解決できるのではないか」と考えることがあります。

仕組みを考え、試作と改良を重ね、ようやく新しい技術や商品が完成する。

しかし、新しい技術を自社で開発したからといって、その技術を独占できる権利が自動的に生まれるわけではありません。

商品を販売すれば、その構造や仕組みが他社に知られ、似た商品を作られてしまう可能性もあります。

そこで、開発した技術を権利として守るために検討したいのが「特許出願」です。

今回は、特許出願とはどのような手続なのか、何を守ることができるのか、出願する際には何に注意すべきなのかを、初めての方にも分かりやすく解説します。

そもそも「特許」とは?

特許とは、新しい技術的な発明を一定期間保護する制度です。

特許法では、保護の対象となる「発明」を、簡単にいえば、自然法則を利用した技術的なアイデアのうち、一定の水準に達したものとしています。

商品や機械の構造、製造方法、制御方法、システム、材料など、さまざまな技術が特許の対象となる可能性があります。

具体的には、次のようなものが考えられます。

・商品の新しい構造
・機械や装置の仕組み
・製品の製造方法
・作業を効率化する技術的な方法
・コンピューターを利用した情報処理方法
・新しい材料や成分
・既存技術を改良した仕組み

ただし、単なる思いつきや願望、人為的なルールなどが、そのまま特許になるわけではありません。

「便利そうなアイデアがある」という段階から、どのような構成によって実現するのか、どのような効果が得られるのかを具体的に整理していく必要があります。

特許出願とは?

特許出願とは、新しい技術や仕組みについて、特許権を取得するために特許庁へ申請する手続です。

ここでまず知っておきたいのが、「特許出願」と「特許登録」は似て非なるものということです。

簡単に整理すると、

出願:特許権を取得するための「申請」
登録:審査を経て、特許権が「発生した状態」

という違いがあります。

そのため、「特許出願済み」と「特許取得済み」は同じ意味ではありません。

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出願した技術が、必ず特許として登録されるわけでもありません。

特許を取得するためには、出願前に知られていないこと(新規性)や、既存の技術から容易に考え出せないこと(進歩性)など、一定の要件を満たす必要があります。

さらに、同じ発明について複数の出願があった場合には、原則として、最も先に出願した人が特許を受けることができます。

発明の内容が具体化してきた段階で、いつ出願するかを検討することも重要です。

特許出願から登録までの大まかな流れ

特許権を取得するまでの一般的な流れは、次のとおりです。

1.発明の内容を整理する
2.似た技術がないか先行技術を調査する
3.明細書や特許請求の範囲、図面などを作成する
4.特許庁へ特許出願をする
5.出願日から3年以内に出願審査請求をする
6.特許庁の審査を受ける
7.特許査定後に特許料を納付する
8.設定登録され、特許権が発生する

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特許出願の特徴の一つが、出願しただけでは自動的に実体審査が始まらないことです。

特許庁による審査を受けるためには、原則として、特許出願の日から3年以内に「出願審査請求」を行う必要があります。

期間内に審査請求をしなかった場合、その特許出願は取り下げたものとみなされます。

出願後すぐに審査請求を行うこともできますが、事業化の見通しや技術の重要性などを確認したうえで、審査請求を行うこともできます。

審査の結果、特許を認められない理由があると判断された場合には、「拒絶理由通知」が発行されることがあります。

拒絶理由通知を受けても、その時点で特許を取得できないことが確定するわけではありません。

意見書で反論したり、特許請求の範囲を補正したりすることで、拒絶理由の解消を目指すことができます。

特許は「商品全体」を丸ごと守るものではありません

特許を取得すると、その商品全体を広く独占できると思われることがあります。

しかし、特許権によって守られるのは商品そのものではなく、「特許請求の範囲」に記載された発明です。

例えば、一つの商品にも、部品を簡単に取り外せる構造、消費電力を抑える制御方法、製造時間を短縮する方法、安全性を高めるセンサーの配置など、さまざまな技術的な特徴が含まれていることがあります。

これらは、同じ商品に使われている技術であっても、それぞれ異なる発明として検討できる場合があります。

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商品に多くの特徴があったとしても、特許請求の範囲に記載されていない事項まで当然に特許権で守られるわけではありません。

つまり、特許出願では、「この商品を守りたい」と考えるだけでなく、商品のどの技術的な特徴を権利として守りたいのかを整理することが重要です。

特許出願では、願書のほか、発明の内容を説明する「明細書」、権利として守りたい範囲を記載する「特許請求の範囲」、必要に応じた図面、発明の概要を示す要約書などを提出します。

「明細書」には、発明の内容や従来技術の問題点、その問題を解決するための構成、発明によって得られる効果などを詳しく記載します。

「特許請求の範囲」には、特許権として守りたい発明の範囲を記載します。

特許請求の範囲を広くしすぎると、すでに知られている技術との差が認められず、登録が難しくなる可能性があります。
反対に、必要以上に狭くすると、少し構造を変更しただけで権利の範囲から外れてしまうこともあります。

また、特許出願後に、当初の出願書類に記載していなかった新しい内容を自由に追加することはできません。

出願時点で発明を十分に整理し、想定される変更例や応用例も検討しながら、出願書類を作成することが重要です。

特許を取得すると何ができる?

特許権を取得すると、事業として、その特許発明を独占的に実施できるようになります。

例えば、特許の内容に応じて、特許発明を利用した商品の製造や販売、方法の使用などを独占できる可能性があります。

第三者が特許発明を無断で実施している場合には、製造や販売の中止などを求められることもあります。

ここで注意したいのが、自社が独自に開発した技術であっても、必ず自由に使えるとは限らないという点です。

他社がすでに保有している特許権の範囲に自社の製品や技術が含まれていれば、その特許権を侵害してしまう可能性があります。

「自分たちで考えた技術だから問題ない」とは限らない点にも注意が必要です。

特許出願と「公開」の関係

特許出願を検討するときには、「いつ発明を公開するのか」にも注意が必要です。

まず気をつけたいのが、出願前の公開です。

特許を取得するためには、原則として、出願前にその発明が公に知られていないことが必要です。これを「新規性」といいます。

自社で開発した発明であっても、出願前に自ら発表してしまうことで、新規性がないと判断される可能性があります。

例えば、次のような行為が公開に当たる可能性があります。

・発明を利用した商品を販売する
・展示会で試作品を展示する
・ホームページやSNSに掲載する
・カタログやチラシを配布する
・論文や研究資料を発表する
・秘密保持義務のない相手へ説明する
・クラウドファンディングで発表する

出願前に発明を公開してしまった場合でも、一定の条件を満たせば「新規性喪失の例外規定」を利用できることがあります。

ただ、「公開してからでも大丈夫」と考えるのではなく、できる限り公開前に出願することが基本です。

【関連記事:「自分のアイデアだから大丈夫」と思う前に。特許権の「新規性」を弁理士が解説】

では、特許出願をすれば、その内容はずっと秘密のままなのでしょうか。

実はそうではありません。

特許出願の内容は、原則として、出願日から1年6か月が経過すると「公開特許公報」に掲載され、一般の人も確認できるようになります。

特許として登録されなかった場合でも、出願内容が公開されることがあります。

特許制度は、発明を社会に公開する代わりに、一定期間、その発明を独占できる権利を認める仕組みともいえます。

そのため、技術によっては、特許出願をして権利化を目指すのか、それとも社内のノウハウとして秘密に管理するのかを検討することが重要です。

例えば、商品の構造を見ても分からない製造条件や配合、工程などについては、特許出願をせず、営業秘密として管理する方法が適している場合もあります。

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特許権はいつまで続く?

特許権の存続期間は、原則として出願日から20年です。

実際に特許権が発生するのは設定登録された日ですが、存続期間の終わりは出願日を基準に計算されます。

なお、一定の条件を満たす場合には、存続期間が延長されることもあります。

特許権を維持するためには、各年分の特許料を納付する必要があります。

特許料を納付しなければ、20年が経過する前に特許権が消滅することがあります。

商標権のように更新を繰り返して永久に維持できる制度ではなく、原則として出願日から20年で終了する権利です。

特許出願はいつ検討するべき?

特許出願は、すでに完成した画期的な製品や、大企業の研究開発だけを対象とするものではありません。

新しい商品の構造を考えたときや、試作品が完成したとき、従来の課題を解決する方法を見つけたとき、製造工程を改善したときなども、特許出願を検討するタイミングです。

システムやアプリなどについても、新しい技術的な仕組みが含まれていれば、特許の対象となる可能性があります。

特に注意したいのは、展示会への出品、取引先への提案、クラウドファンディング、大学や研究機関での成果発表など、外部への公開を予定している場合です。

試作品が完全に完成していなくても、発明の構成や仕組みを具体的に説明できる段階であれば、特許出願を検討できる場合があります。

販売や発表の予定が具体的になる前に、発明の内容を整理し、特許出願の必要性を検討しておくことが大切です。

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まとめ

特許出願とは、新しい技術や仕組みについて、特許権を取得するために特許庁へ申請する手続です。

ただし、出願しただけで特許権が発生するわけではありません。

出願後に審査請求を行い、特許庁の審査を経て、設定登録されることで初めて特許権が発生します。

また、特許で守られるのは商品全体ではなく、特許請求の範囲に記載された発明です。

発明のどの部分を権利として守りたいのかを整理し、適切な出願書類を作成することが重要になります。

さらに、出願前に自ら発明を公開してしまうと、特許取得に影響する可能性があります。

新しい商品や技術を開発した場合には、販売や発表をしてから考えるのではなく、公開する前の段階で特許出願の必要性を検討することをおすすめします。

羽鳥国際特許商標事務所では、先行技術の調査から、発明内容や権利化方針の検討、明細書・特許請求の範囲の作成、特許出願、拒絶理由通知への対応まで、特許に関するご相談を承っております。

群馬県内はもちろん、全国からオンラインでのご相談にも対応しております。

新しい商品、技術、製造方法、システムなどの特許出願をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

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